僕は、自分がかつてうつ病になったことから、人の心理というものにとても興味を持つようになった。
なぜ僕はうつ病になったのか。
うつ病を克服するためにはどうすればいいのか。
その答えを探し続けることで、様々なことを学んだ。
そして今は、精神を病む人を減らしたいと思うようになった。
予防することで、僕のように辛い思いをする人を減らしたいと思ったからだ。
日本人の精神疾患を減らすために変えるべき二つのこと
日本は、精神を病む人が多い。
特に近年は、経済的に芳しくないことから閉塞感が漂い、生きづらそうにしている人が多いように感じる。
このような状況を変えるためには、大きく分けて、二つのことを変えていく必要があると僕は考えている。
その二つとは、「働き方」と「教育」だ。
このうち、教育を変えていくのは、なかなか難しいと思っている。
文部科学省をはじめとする国の機関を動かす必要があるし、受験制度の見直しなども変えるべきだろう。
しかし、これは簡単には変らないだろうことは容易に想像がつく。
これに対して、働き方は、それぞれの職場のリーダーや経営者が考え方を変えていけば、少しずつではあるが、変化を起こすことはできる。
社会が変わっていけば、それに追随するように教育が変わってくるだろう。
なぜなら、教育は、社会が必要とする人材を輩出するのが仕事だからだ。
社会の要請が変われば、教育界は変らざるを得ない。
僕はそう考えている。
経営者は心理学を学ぶべきだ
僕自身も、個人事業主とはいえ、17年間にわたり整体院を切り盛りしてきた経営者の端くれだ。
経営者こそ、人の心を解っておく必要があると痛感している。
お客様も、従業員も、取引先の担当者も、みんな人間だ。
人と人とが行うのがビジネスなのだから、人の心理を知っておく必要はあるはずだ。
そして、従業員や取引先で働く人たちの心を守れるのは、経営者しかいないのだ。
経営者が、自分に関わる人たちの心を守ろうとするかどうかで、日本の本当の意味での働き方改革が進み、精神疾患や過労死を減らすことができるようになる。
経営者は、日本の未来を変えるだけの影響力を持っているのだ。
また、経営者は孤独だし、責任も重い。
一説によると、一般の人たちよりも、経営者のほうが精神疾患にかかるリスクが高いと言われている。
経営者自身の健康のためにも、そして、もちろん経営のためにも、健全な精神を保っておく必要があると考えている。
経営心理学を学べる本
会社を経営するということは、人の心理を動かす力が必要だと思う。
そんなことを考えていたら、「経営心理学」という言葉が降ってきた。
経営に関する人の心理を学ぶ学問。
そういう分野があってもいいのではないか。
そうして、「経営心理学」でググった結果、ある本に出合った。
著者の藤田耕司氏は、公認会計士、税理士でありながら、心理カウンセラーでもあるという異色の経歴を生かして、多くの経営者の相談に乗っている。
さらには、一般社団法人経営心理士協会代表理事を務め、経営心理学の普及に力を入れている。
その藤田氏の著書「リーダーのための経営心理学」は、とても読みやすく、経営者がどうして心理学を学ばなければいけないのか、どのようなことに気を付けて経営をしていかなければいけないのかが、わかりやすくまとめられている。
数字と心はつながっている
藤田氏は、この本の中で、以下のように述べている。
経営やビジネスは人を動かし導くことです。
従業員や部下という「人」。
お客様という「人」。
その他、仕入れ先や外注先、社外パートナーなど、様々な「人」。
経営やビジネスに携わる人たちは、こういった「人」を動かし、経済の流れを生み出すべく、人と会い、会話し、メールを送り、書類を作り、日々、様々な活動をしています。
経営は人の人並みである以上、人間のことを学ぶ必要があるのです。
本書の中で、あの経営の神様と言われて、松下幸之助氏の以下の言葉を紹介しています。
「会社を経営するうえでも成功しようと思ったら、人間とはこんなもんやという本質を知る、そこから出発しないといかん。諸君は大学で人間について研究したか」
人間を学ばなければ、経営において成功はあり得ない。
松下幸之助氏の言葉が刺さるのは、人の心を熟知していたからではないだろうか。
また、藤田氏は、以下のようにも述べている。
数字と心はつながっています。
売上という数字を伸ばそうとするのであれば、お客様の心や感情を理解することが必要となり、組織のパフォーマンスをあげようとするのであれば従業員、上司、部下の心や感情を理解することが必要となる。であるならば、数字を良くするためには、人の心や感情について専門的な知識や深い洞察・経験を有していることが必要となる。〈中略〉
経営やビジネスで良い結果を出す人は、人の心について深い洞察があると感じます。それが心理学のような学問という形で学んでいなくとも、これまでの人生における経験から、本人の中で感覚知や直感として積み上げられたものがあります。
多くの経営者の相談を受けてきた藤田氏の感覚は、おそらく間違いではないだろう。
人の心を理解し、人を動かすことができるようにならなければ、経営者として成功することはできないだろう。
人の心を扱うのは人工知能にはできない
この先、AIが発達して、多くの仕事がAIにとってかわられると言われている。
しかし、人の心理に関わることは、AIにはできないだろうことは明白だ。
なぜなら、人間の心理というのは、非常に個人的なもので、統計値や平均値では最適な解を導き出すことができないからだ。
人の話す言葉と、言葉にできないようなその裏にある感情を読み取ることができなければ、人の心を扱うことはできない。
だからこそ、経営者という仕事はAIにはできないのだ。
経営者こそ心理を学ぼう
僕自身も、経営者の皆さんを心理的な側面からサポートしたいと考えている。
経営者自身の心理的な問題に対するサポートもさることながら、リーダーとしてどのように部下やチームメンバーと接すればいいのか、という問題に対しても、アドバイスができればうれしい。
また、メンバーの心理的なサポートもしたい。
そういうことを通じて、会社の業績アップにもお役に立ちたいのだ。
そうして、日本に働きやすい職場が増えることで、この社会が幸せに暮らせる社会になるように、微力ながら貢献したいと考えている。
まとめ
経営とは、人の営みである。
人の営みであるなら、人間の心理が大きくかかわてっているはずである。
しかし、これをちゃんと学んでいる人はどれくらいいるのだろうか。
ビジネスの勉強は沢山しているだろうけれども、心理学を学ぶ必要性も考えてほしいと思う。
もし、経営に関して、人の心理を学びたいと思うのであれば、この本を手に取ってみるのも良いのではないだろうか。
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