「痛いの痛いの飛んでけ~!」はなぜ効くのか

子どもを抱く母親 子育て・教育
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僕には4人の子どもがいる。
しかも、一番下の子は双子だ。
共働きなので、当然のことながら、僕も子育てに参加しないと物理的に回らなかった。
だから、当たり前のように何でもやった。
自分のことをイクメンだとか思ったこともないし、そんなことを思っている余裕もなかった。

おかげで、今でも子どもたちとの距離は近い。

先日、小学校6年生になった一番下の娘(双子の片割れ)が、
「痛いの痛いの飛んでけ~!」はなんで効くの?
と訊いてきた。

子どもたちが小さいころに僕が良くやっていたし、最近やっても「やっぱり効くような気がする」と言っていた。
小さいころは純粋に信じていたようだけれど、成長して「なんで効くんだろうか。効くはずがないのに。」と考えるようになっただろう。

そこで、真面目に答えてみることにした。

痛みは意識するとますます痛くなる

人間の感覚というのは結構いい加減なもので、痛みが弱い場合、その痛みに意識を集中するとますます痛みを感じやすくなる。
痛み以外に意識を持っていくと、あまり痛くない。

小さい子どもは、ちょっとした痛みでも大げさに痛がったりするので、痛みから意識をそらすだけで痛みが楽になったりすることがある。

痛いの痛いの飛んでけ!
って、大げさにやることによって、その行為に意識が行ってしまう。
そして、痛みが飛んで行ったんだと思い込むことによって、痛みが飛んで行った先へと意識が行く。
これによって、痛みを感じなくなる。

そして、安心して遊び始めると、すっかり痛みを忘れてしまうのだ。

痛いと思うと痛みが増す。
痛くないと思うと痛みが楽になる。
別のことをやりだすと痛みを感じなくなる。

これは、日常生活でもよく見られる現象なのだ。
意識が痛みに向いていない時は、痛みを感じないのだ。

時間が経つと意味が楽になる

怪我の程度によるけれど、軽い怪我(軽い打撲や擦り傷など)であれば、受傷した瞬間が一番痛いし、時間が経てば痛みはどんどん引いていく。

「痛いの痛いの飛んでけ!」で何とかなるだろうと親が判断する程度の軽い怪我や状態であれば、まあ、その程度のことだということだ。

すると、「痛いの痛いの飛んでけ~!」とやっている間にも、どんどん痛みは楽になっていく。
要するに時間稼ぎをしているわけだ。

安心する・落ち着く

痛みを感じている時には、怪我をして気が動転している、パニックに陥っている、痛みを感じて不快、心細い、心配など、気分的に不安定な状態になっている。

自分が信頼できる人物(親とか家族)にケアをしてもらえているという安心感を得ることができる。
精神的に落ちつく。

パニックが治まって、よくよく考え見ると、実はそんなに痛くないことに気がついたりする。
精神的に落ち着くというのは、身体の痛みに対しても有効だと考えられる。

ゲートコントロール効果

痛みを感じている周辺に、軽い刺激(擦るとか手で押さえるなど)を与えることで、軽い刺激の方に意識が行くためにその分痛みが軽減する現象を、ゲートコントロール理論という。

これは、神経は伝達する情報量に限りがあるので、軽い刺激の情報を伝えるために、痛みという情報量を減らすのではないか、という理論だ。

「痛いの痛いの飛んでけ~!」をやりながら、痛いところに手を当てて軽く擦ってあげることで、ゲートコントロール効果が働いて痛みが軽減することが考えられる。

自分でも無意識のうちに、痛いところを擦ったり手を当てて抑えたりするよね。

これこそまさに「手当て」と言えるだろう。

プラセボ効果

プラセボ(偽薬)効果という有名な理論がある。
これは、薬の効果を確かめる試験において、効果が出るはずがない偽薬を投与した被験者の中に効果が出る人がいる、という現象を言う。

要するに、偽物の薬でも本物の薬だと信じて飲むことによって本当に効果が出てしまうことがあるのだ。

子どもが親を信頼している場合、その親が真剣な態度で一生懸命「痛いの痛いの飛んでけ~」とやると、子どもは「これで痛みが取れる」と信じるわけだ。そうすると、本当に痛みが取れてしまう。

人間の身体とは本当に不思議なものだと思う。

これは、怪しげな健康食品とか、怪しげな治療行為なんかでも見られる現象なので注意が必要だ。
しかし、当人(患者)にとっては治ってしまえばプラセボだろうと何だろうと結果オーライだと言えるかもしれない。

この問題は、なかなか悩ましいのだ。

真剣にやることが大切

小学生の娘には、一つ目の項目だけを説明したのだけれど、それだけでも納得していた。
僕は整体師だから、以上のことをわかった上で、かなり真剣に「痛いの痛いの飛んでけ~!」とやっていた。

やるなら大げさにやらないと効果はない。
やる本人がその効果を信じて、一生懸命にやることが大切なのだ。
だからこそ、効果を出すことができたのかもしれない。

この方法、子どもが大きくなるにつれて効かなくなる。
それは、子どもに知恵がついて、親を信じなくなるからだろう。
プラセボ効果が出なくなるんだと思う。

小学6年生の娘には、まだ少し効くみたいなので、まだ少しは僕のことを信頼してくれているということなのだろう。
子育てを真剣にやってきてよかった(笑)

Photo by Andriyko Podilnyk on Unsplash

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