ちょっと興味深い本を読みました。
タイトルは、【酒乱になる人、ならない人】
ちょっと古い本なのですが、アルコール依存症治療で有名な、国立療養所久里浜病院でアルコール依存症の治療にあたっておられた眞先敏弘先生。(現在は、帝京大学医学部におられるようです。)
僕は、どちらかと言えばお酒は好きな方ですが、特に酒豪というほどでもないし、酒を飲んで乱れるということもないし、家で晩酌をする習慣もないので、たぶん「酒乱」ではないと思います(笑)
そうはいっても、過去には酒を飲んだうえでの失敗談はいくつかあって、痛い目にもそれなりに見てきています。
そんなわけで、「酒に酔う」ということがどういうメカニズムなのか、という興味と、アルコール依存症がどういうものなのか、という実態を知りたかったので、この本を読んでみることにしました。
アルコールとどのように付き合っていけばいいのか、いい関係でいたい、という方にもお勧めの本です。
酒乱になるかどうかは遺伝子が決める
この本をには、アルコールが体内に入った場合、人間の体内で何どんなことが起こっているのかを丁寧に解説しています。
人によって、お酒を飲んだ時の酔い方は違います。
それは、多くの人が経験的に知っていることです。
どんなに飲んでも顔色一つ変えない酒豪もいれば、少量でも酩酊してしまう人もいます。
酔い方も様々で、大騒ぎして盛り上がる人、笑いが止まらなくなる人、持論をまくしたてる人、他人に絡む人、泣く人、喧嘩する人、寝る人、静かに黙々と飲む人、少量でも気分が悪くなる人など、いろんな人がいますよね。
そして、大体、パターンが決まっています。
いろいろな酔い方のうち、社会的通念に照らし合わせて他人に迷惑をかけてしまうような酔い方をする人を「酒乱」と言います。
なかには、警察のご厄介になったりする人もいることでしょう。
こうなると、人生を棒に振るようなことにもなりかねないので、本人にとっては大問題ですよね。
このような酔い方の違いというのは、持って生まれた体質がかなり大きく影響しているということです。
つまり、アルコールに対して身体がどのように対応するかは、遺伝子が影響しているというのです。
酒豪の方がお酒で身体を壊しやすい
本書の内容を単純化すると、アルコールを処理する能力が高い人とそうでない人がいるということ。
処理する能力が高い人は、俗に「酒に強い」と言われるわけですが、この酒に強い人ほど、アルコールが原因となって身体を壊す可能性が高いと言えます。
酒に強いので、大量飲酒を長い年月にわたって続けることが可能なので、アルコールの悪影響を受けやすいのです。
酒に弱い人は、アルコールを飲んでもいい気分になれないので、そもそもアルコールを飲む機会も、飲む量も少ないわけです。
ですから、アルコールが原因となる疾患にかかることは稀なのです。
そもそも、身体を壊すほど飲めない、ということなのです。
酒豪は油断している
酒に強い人は、「自分は酒に強いから大丈夫だ」と油断している人が多いと言います。
ところが、酒に強いがために、アルコールによって身体を壊す危険が高まるのですから、本来ならば、酒豪ほどアルコールの飲み方について注意が必要であると、著者である眞先先生は警告しています。
長期間にわたり、大量飲酒を続けることで、身体は確実に蝕まれて行きます。
それは、まぎれもない事実なのです。
どんなに酒に強くても、飲んだ酒の量に比例してその危険性が高まっていきます。
アルコール依存症はもう始まっているかもしれない
アルコール依存症というと、朝からキッチンで飲み続けていて、廃人になっているというイメージがあります。
また、お酒を断つと禁断症状が出て手が震えるとか、記憶が無くなって仕事に大きな穴をあけてしまうとか、社会生活ができなくなるイメージがありますよね。
でも、そういうことが無くても、すでにアルコール依存症になっている人はたくさんいるというのです。
毎晩大量に飲んでいるけれど、朝から飲むことはないし、仕事に穴をあけることもない。
確かに、いつも酔っているような感じはあるけど、社会生活に支障が出るほどでもない。
だから自分は大丈夫。
アルコール依存症ではない。
そんな風に思ってしまいがちですが、
よく考えてみると、突然朝から飲むような状態が起こるはずもなく、徐々に進行していくわけですから、毎晩大量に飲まなければいられないような状態というのは、もうすでにアルコール依存症なのです。
すなわち、「自分ではまだ依存症にまではなっていない」と思っている人の中にも、すでに依存症の領域にいるという人も少なくないということです。
アルコールは確実に身体に悪い
「酒は百薬の長」という言葉がありますが、この言葉は「酒飲みの言い訳」じゃないかと僕は思っています。
僕は整体師なので、身体の反応は身体からのサインだと考えています。
身体が良い反応をしたときには、それは身体にとって良いことで、身体が悪い反応をしたときには、それは身体にとって悪いことだと考えます。
酒を飲んだ後の身体の反応を見れば、明らかにいい反応とは言えません。
とくに、二日酔いの気持ち悪さと言ったら、最悪ですよね。
頭はガンガンするし、身体はだるいし、吐き気はあるし、食欲はないし、お腹は下すし。
こんな状態になるということは、アルコールが毒物であるということを、身体は雄弁に語っているのです。
まとめ
長期間にわたって、大量の飲酒を続けることで、身体は確実にダメージを受けていきます。
酒に強い人ほど大量にお酒を飲むので、このリスクはどんどんと高くなっていきます。
「自分は酒に強いから大丈夫」と思っているかもしれませんが、
それはむしろ、「酒に強いから危ない」と戒めることが大切です。
この記事を読んで、もしかしたら自分はアルコール依存症ではないかと思った方は、この本の中にも登場する、久里浜病院(久里浜医療センター)のサイトに、自己診断用のスクリーニングテストがありますので、そこでまずはテストをしてみることをお勧めします。
そのうえで、さらに興味がありましたら、本書を手に取ってみることをお勧めします。
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