やめるリスクとやめないリスク

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昨日のブログで、【日本人は「やめる練習」がたりてない】という本の紹介をしました。

【読書】日本人は「やめる練習」が足りていない
マレーシアに移住して子育てをした日本人が、マレーシアと日本の違いから日本人が抱える問題点について指摘した本を紹介します。日本の社会で暮らし、生きづらさを感じてる人はぜひ読んだほうが良いと思います。

この、やめるというワードから、私が会社を辞めた時に考えたことを思い出しました。

今日の記事では、そのことについて書いてみたいと思います。

会社を辞めるメリットとリスク

私がうつ状態に陥ったのは、入社して8年目のことでした。
うつ状態に陥る前から、この会社を辞めようかどうしようかと、かなり悩んでいたんですね。

うつ状態になる前の段階では、やめた場合のメリットとデメリットだけを考えていました。

当時、私が勤めていた会社は、大手重工業会社の系列会社でした。
子会社とはいえ、親会社に準ずる待遇でしたので、お給料もそれなりによかったし、福利厚生もしっかりしておりました。

このような優良企業を辞めるなんて、デメリットが大きすぎるのではないか、と思っていたのです。

辞めて、本当に心からやりたいことをやろうと思っても、その仕事でうまくいくという保証はないし、これまでと同じような生活水準が保てるとはとても思えない。

そんな状態なので、辞めた時のメリットとデメリットやリスクを考えた場合、辞めたいけれどやめるのは得策ではない。
そんな風に考えていたんですね。

うつになって気が付いたこと

ところが、その後いろいろあって、うつ状態に陥ってしまった。
そういう状況になってはじめて、あることに気が付いたのです。

それは、辞めた場合のデメリットやリスクは考えたけど、辞めない場合のデメリットやリスクは考えなかったということ。

会社を辞めるというのは、とても怖いんですよね。
未知の世界に飛び込んでいくわけですから、勇気がいるわけです。

この決断が吉と出るか、凶と出るのか、それは解らない。

しかし、辞めないという判断に恐怖は伴いません。
なぜなら、よく知っている世界にとどまるからです。
よく知っている世界だから、なんとなく安全なような気になるんです。

知らないことには恐怖を感じ、知っていることには感じない。

このことに考えがいたっていなかった、ということに気が付いたんですね。

この会社にとどまるということは、これからもうつ状態になる危険性があるということが、うつ状態に陥ることによってはっきりと分かったわけです。

つまり、「これまでと同様に苦しい人生を歩くことになる」というリスクがあるということです。

知っている場所でも、決して安全とは言えない。
そこに残るという決断にも、リスクが存在しているということ。

多くの人はここに気が付かないのです。

沈みゆく泥船にいつまでしがみつくのか

例えば、あなたの乗っている船が、いまにも沈みそうなボロボロの船だとします。
このままでは、本当に沈んでしまうかもしれない。

しかし、船の外にもたくさんの危険が潜んでいるかもしれない。
こんな状況の場合、どの段階で決断を下すのか。

人間には、正常性バイアスという心理状態があります。

自分が置かれている状態が異常事態なのにもかかわらず、「正常である」と思い込む心理状態です。
そう思い込んだ方が、ストレスを感じなくて済むので、そう思い込みたいのです。

多くの災害現場で逃げ遅れる人たちは、この正常性バイアスがかかっている可能性があります。
つまり、自分の置かれた状況が「さほど危険な状況ではない」と思い込みたい心理なのです。

今いる場所は安全であると思い込みたいのです。

でも、ここにとどまったらどうなるか。
とどまるリスクはどんなことがあるのか。

そのリスクを冷静に判断することができるかどうか。
それは、自分が生き残るために、とても必要な能力なのです。

やめないことにもリスクはある

日本人は、継続することを美徳する価値観を持っています。
ころころと、やっていることをすぐにやめてしまうことに対して批判的です。

しかし、楽しくもない、面白くもないことを、いつまでも続けていることに何か意味があるのでしょうか?

人生は短い。
あっという間に歳をとってしまいます。

やめたいと思ったら、はやくやめないと時間切れになってしまうかもしれません。

もしかしたら、やめずに続けることで、状況がどんどん悪化するかもしれません。

辞めないという選択肢の中にもリスクは潜んでいるのです。

まとめ

人はとかく、やめることのメリットとデメリットは考えるけれど、やめないことのメリットとデメリットは考えない傾向にあります。

よく知っている今までと同じ方、現状維持の方が安全であると錯覚してしまうのです。
でも、本当は、やめないことのリスク、変えないことのリスクもあるということを忘れてはいけません。

そのリスクを冷静に判断できるようにならないと、後悔をすることになるかもしれません。

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