昨日のブログで、【日本人は「やめる練習」がたりてない】という本の紹介をしました。
この、やめるというワードから、私が会社を辞めた時に考えたことを思い出しました。
今日の記事では、そのことについて書いてみたいと思います。
会社を辞めるメリットとリスク
私がうつ状態に陥ったのは、入社して8年目のことでした。
うつ状態に陥る前から、この会社を辞めようかどうしようかと、かなり悩んでいたんですね。
うつ状態になる前の段階では、やめた場合のメリットとデメリットだけを考えていました。
当時、私が勤めていた会社は、大手重工業会社の系列会社でした。
子会社とはいえ、親会社に準ずる待遇でしたので、お給料もそれなりによかったし、福利厚生もしっかりしておりました。
このような優良企業を辞めるなんて、デメリットが大きすぎるのではないか、と思っていたのです。
辞めて、本当に心からやりたいことをやろうと思っても、その仕事でうまくいくという保証はないし、これまでと同じような生活水準が保てるとはとても思えない。
そんな状態なので、辞めた時のメリットとデメリットやリスクを考えた場合、辞めたいけれどやめるのは得策ではない。
そんな風に考えていたんですね。
うつになって気が付いたこと
ところが、その後いろいろあって、うつ状態に陥ってしまった。
そういう状況になってはじめて、あることに気が付いたのです。
それは、辞めた場合のデメリットやリスクは考えたけど、辞めない場合のデメリットやリスクは考えなかったということ。
会社を辞めるというのは、とても怖いんですよね。
未知の世界に飛び込んでいくわけですから、勇気がいるわけです。
この決断が吉と出るか、凶と出るのか、それは解らない。
しかし、辞めないという判断に恐怖は伴いません。
なぜなら、よく知っている世界にとどまるからです。
よく知っている世界だから、なんとなく安全なような気になるんです。
知らないことには恐怖を感じ、知っていることには感じない。
このことに考えがいたっていなかった、ということに気が付いたんですね。
この会社にとどまるということは、これからもうつ状態になる危険性があるということが、うつ状態に陥ることによってはっきりと分かったわけです。
つまり、「これまでと同様に苦しい人生を歩くことになる」というリスクがあるということです。
知っている場所でも、決して安全とは言えない。
そこに残るという決断にも、リスクが存在しているということ。
多くの人はここに気が付かないのです。
沈みゆく泥船にいつまでしがみつくのか
例えば、あなたの乗っている船が、いまにも沈みそうなボロボロの船だとします。
このままでは、本当に沈んでしまうかもしれない。
しかし、船の外にもたくさんの危険が潜んでいるかもしれない。
こんな状況の場合、どの段階で決断を下すのか。
人間には、正常性バイアスという心理状態があります。
自分が置かれている状態が異常事態なのにもかかわらず、「正常である」と思い込む心理状態です。
そう思い込んだ方が、ストレスを感じなくて済むので、そう思い込みたいのです。
多くの災害現場で逃げ遅れる人たちは、この正常性バイアスがかかっている可能性があります。
つまり、自分の置かれた状況が「さほど危険な状況ではない」と思い込みたい心理なのです。
今いる場所は安全であると思い込みたいのです。
でも、ここにとどまったらどうなるか。
とどまるリスクはどんなことがあるのか。
そのリスクを冷静に判断することができるかどうか。
それは、自分が生き残るために、とても必要な能力なのです。
やめないことにもリスクはある
日本人は、継続することを美徳する価値観を持っています。
ころころと、やっていることをすぐにやめてしまうことに対して批判的です。
しかし、楽しくもない、面白くもないことを、いつまでも続けていることに何か意味があるのでしょうか?
人生は短い。
あっという間に歳をとってしまいます。
やめたいと思ったら、はやくやめないと時間切れになってしまうかもしれません。
もしかしたら、やめずに続けることで、状況がどんどん悪化するかもしれません。
辞めないという選択肢の中にもリスクは潜んでいるのです。
まとめ
人はとかく、やめることのメリットとデメリットは考えるけれど、やめないことのメリットとデメリットは考えない傾向にあります。
よく知っている今までと同じ方、現状維持の方が安全であると錯覚してしまうのです。
でも、本当は、やめないことのリスク、変えないことのリスクもあるということを忘れてはいけません。
そのリスクを冷静に判断できるようにならないと、後悔をすることになるかもしれません。
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