僕はこれから、組織を率いる人たちの心理的な支援について、本腰を入れていこうと思い立った。
そのためには、それなりの勉強をしなければいけない。
というわけで、長い間僕の本棚に積読本として眠っていたこの本を読み込むことにした。
これを読まずして、組織は語れないし、組織を率いる人たちの支援はできない。
そう考えた。
このブログにも、僕が学んだことを備忘録的に残しておく記事を書いてみようと思う。
でも、知っているだけで、ちゃんと学んだことはなかった。
いつか読もうと思って本を買ってはみたものの、読まずに本棚に眠っていた。
なんとなく、「難しい」という印象があったからだ。
でも、読んでみて驚いた。
とても面白い。
わかりやすい。
そして、なるほどなあ、と、思う。
本質をついていると感じる。
この本の冒頭部分から、なるほどと思わされる。
組織の存在理由
この本の冒頭部分に、こんな記述がある。
企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは組織自体のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織は、目的ではなく手段である。したがって問題は、「その組織は何か」ではない。「その組織は何をなすべきか。機能は何か」である。
言われてみれば当たり前のことなのであるけれど、果たして、世の中に存在する組織が、その組織を維持させること、存在させることが目的になっているではないかと思った。
つまり、ここでも手段の目的化が起こっているのではないかと。
組織というのは、ある目的があって、そのために結成される。
一人の人間では達成できない何らかの目的があって、その目的を達成するために人々が集まってきて組織を作る。
言われてみれば当たり前のことなのだけれども、一度組織を作ってしまうと、それを維持することや拡大することが目的化してしまう。
それは、健全な組織の在り方とは違うんだ、ということを再認識させられた。
「手段の目的化」が起こると、いろいろと不都合なことが起こるのが世の常だ。
こういう場合には、「本来の目的は何か」ということを忘れないように常に意識しておくことが必要なのだ。
いきなり冒頭から、ガツンと来た。
本質をついていると思った。
マネジメントの三つの役割
続いて、マネジメントの役割について次のように書いている。
それら組織の中核の機関がマネジメントである。
〈中略〉
マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それらの三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。
①自らの組織に特有の使命をはたす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。
②仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資(かて)、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。
③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。
組織というのは、社会が抱える問題を解決することを目的に結成された集団であるから、社会貢献がその存在意義ということになる。
そして、その目的を果たすこと、そこで働く人たちを生かすこと。
それを実現することが、マネジメントの役割であると述べている。
ここについても、まったくもってその通りだと思うし、同時に、こんなことを考えて組織を運営している人が果たしてどれくらいいるんだろうか、とも思う。
働く人たちを幸せにしたい
僕が、これから経営者やマネージャーの心理的な支援をしたいと思ったのは、とにかく、働く人たちを幸せにしたいと考えたからだ。
これまで、整体師として、心理カウンセラーとして、心身の健康を損なってしまった人たちをたくさん見てきた。
どうしてそんな状態に陥ったのか、もちろんその原因は様々なんだけれども、仕事が原因で、あるいは職場の人間関係が原因で、健康を損なってしまったという人は少なくない。
そうなる前に何とかならないのか。
そう思わずにいられないのだ。
働く人たちの健康を大切にする、そういう職場が増えることが、仕事を通じて心身を病んでしまう人を減らすことにつながるのではないか、そう強く思うのだ。
マネジメントの役割の②に書いてあるけれど、やはり、マネジメントというのは、その組織を構成している人々を生かす、という役割がある。
いわゆる「人材を生かす」ということである。
人材を生かすことが、組織を生かすことになるわけだし、マネジメントの基本的な役割の一つであることは間違いがない。
まとめ
長い間、積読本として本棚に眠っていた本書だけれど、冒頭から引き込まれてしまった。
当たり前のことなんだけれども、本来の目的を意識しているかいないかで、大きな違いを生むと思う。
手段の目的化がおこならないように、自戒を込めて、この記事を書いた。
組織とは、社会の問題を解決するために存在するもの。
目的は社会の問題を解決することであり、組織はそのための手段である。
そして、そこで働く人たちを生かし、社会に貢献することがマネジメントの役割なのである。
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