人材をひきつける-ドラッカーに学ぶビジネスの本質⑤

ビジネスミーティング 読書
スポンサーリンク
僕は産業カウンセラーという資格を持っている。
産業カウンセラーというのは、働く人たちのメンタルの問題をサポートすること、また、精神疾患を予防するための職場環境改善の提案やその実施についてのサポートも行う。
僕自身が、かつてサラリーマン時代にうつ状態に陥ってとてもつらい思いをした。
そういう経験があるから、いつかは働く人たちの健康問題をサポートしたいと考えていた。
残念ながら、この国の労働環境は厳しく、長時間労働から、精神疾患や心臓疾患、脳血管障害などを発症してやがて死に至る「過労死」が問題視されている。
そして、不名誉なことに、いまや「karoshi」が世界共通語になっているともいわれる。
僕は、整体師として、心理カウンセラーとして、このような状況を改善したいと本気で考えている。
この問題について、ドラッカーはどのように考えているのだろうか。
今日も、ドラッカーの著書「【エッセンシャル版】マネジメント」から学んでみたいと思う。

日本の現状

経営資源として必要なものは、昔から「ヒト、モノ、カネ」と言われる。
ヒトとは人材のこと。モノとはビジネスに必要なモノや商品そのものを示す。カネは資金。
モノとカネについては、いろいろと腐心する経営者も多いけれども、ヒトに関しては積極的に考えていない経営者が多いのではないだろうか。
バブルが崩壊した後、日本の産業界にはリストラの嵐が吹き荒れた。
リストラというのはリストラクチャリングのことで、再構築と訳される。
本来は事業全体の再構築を表す言葉であるはずなのに、なぜか日本では人員整理を表す言葉になってしまった。
すなわち、人件費を削ることがリストラクチャリングの主要な方策とされた。
このことからわかるように、日本の企業においては人件費は真っ先に削るべきコストであると認識されているのだ。
この人件費を削るために、バブル崩壊の30年間で、成果主義が導入されたり、非正規雇用者が増えたりした。
これによって、先進国の中で唯一、実質賃金が下がるという現象が起こっている。
(参照:全労連「実質賃金指数の推移の国際比較(1997年=100)」)
このようなことが起これば、当然のことながら、国民の購買力が減ってしまい、内需が冷え込むことは目に見えている。
なぜなら、従業員はすべて、どこかの企業の顧客だからだ。
さらには、賃金が下がることによって働く人たちの意欲が低下してしまうことも容易に想像できる。
しかし、一方で、経営を行っていくうえで外せない資源としてヒトは大切であるとされている。
ドラッガーは「【エッセンシャル版】マネジメント」の中で、以下のように述べている。
最良の人材と資金を引き寄せることができなければ、企業は永続できない。産業全体としてみても、その衰退の最初の徴候は、有能でやる気のある人間に訴えるものを失うことである。
ドラッカーが言うように、今や、日本の産業界全体が、「有能でやる気のある人間に訴えるものを失っている」という状態にあるのではないだろうか。
このような状態でいいはずがない。

マーケティング的な考え方

ドラッカーは、人材に対する考え方として、以下のように述べている。
「われわれが必要とする種類の人材を引きつけ、かつ引きとめておくには、わが社の仕事をいかなるものとしなければならないか」「獲得できるのは、いかなる種類の人材か。それらの人材をひきつるには何をしなければならないか」
つまり、マーケティングの考え方を人材獲得についても導入すべきだということだ。
まず、自分たのちの「事業は何か」「顧客は誰か」という、ビジネスの根源的な問題について明らかにする。
これが明らかにすれば、その事業を進めるにあたり、どのような人材が必要であるかが明らかになる。
そのうえで、その人材を引きつけ、かつ、引きとめておくにはどうすればいいのかを考えるべきだと述べている。
このような考え方は、人材が事業を行う上でいかに大切を自覚していなければできない考え方だろう。

人口減少社会

これから日本は、人口減少社会を迎える。
加えて、超高齢化社会である。
これは、労働人口が急激に減少していることを表している。
このことは、今後、いい人材を確保し、とどめておくことがますます困難になっていく事を表している。
この問題を解決できない企業は、いくら事業が好調でも、存続できない可能性がある。

ヒトを大切にする会社が生き残る

この、人口が減っていく社会においては、ヒトを大切にする会社でなければ生き残れないだろう。
人口動態は確実な未来予想だ。
大規模な移民政策でも取らない限り、この予想は外れることはない。
今後、事業を継続していく者としては、避けては通れない問題となるのは間違いがない。
産業カウンセラーである僕としては、ヒトを大切にする企業が増えることは望ましいことだと思っている。
企業に搾取されて不幸になっていく人を減らして、誰もが幸せに暮らせる社会をつくることが、僕のこれからのミッションだと思っているからだ。

まとめ

人件費はコストでない。
むしろ投資であると考えるとよいのかもしれない。
どんな人材を引き付けるか。
働く人にとって、魅力ある企業になることが、優秀な人材を引き付け、事業を発展させることができる。
僕は、産業カウンセラーとして、働きがいのある魅力的な職場づくりのお手伝いをしたいと思っている。
興味がある方は、ぜひ、連絡をしてほしい。
何らかのお力になれると思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました