【読書】なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか

なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか 読書
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異変興味深い本を読んだので紹介します。
タイトルは「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」。

タイトルから受ける印象は、「弱さを見せあえる組織」というのは、とても包容力があって、優しく、居心地のよい組織をイメージしてしまうのですが、読んでみると全く違いました。
正直って、ある種の人たちにはとても苦しいです。はい。

著者は、ハーバード大学大学院教授のロバート・キーガン氏と同大学院教員のリサ・ラスコウ・レイヒー氏。
彼らの専門は、成人学習・職業発達論とのこと。すなわち人の発達について研究している方々です。

非常にボリュームがあり、かなりたくさんの学びを得たので、すべて書きたいところですが、ネタバレしてしまうので、私がこの本から受け取った内容を簡単にまとめてみたいと思います。

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多くの人が精をだす「もう一つの仕事」

実は、組織に属しているほとんどの人が、本来の仕事とは別の「もう一つの仕事」に精を出している。
〈中略〉
大半の人が「自分の弱さを隠す」ことにエネルギーを費やしている。
〈中略〉
思うに、組織でこれほど無駄を生んでいる要素はほかにない。もっと価値あることにエネルギーを費やすべきではないか?この無駄が生み出す弊害ははっきりしている。組織とそこで働く人たちが潜在能力を十分に発揮できなくなってしまう、ということだ。
本書に出てくる「弱さ」という言葉は、僕の感想としては訳語としてしっくりきませんね。
それはたぶん、僕が心理カウンセラーだからかもしれません。
どちらかというと、苦手なこと、短所、未熟さ、という言葉のほうが理解できる気がします。
そして、自分が未熟であることや失敗してしまったこと、苦手なことを、組織内では隠している人が多いと述べています。それがばれないように日々、ひた隠しに隠していると。
なぜなら、それが明るみに出れば、叱責されるかもしれない、査定に響くかもしれないし、昇進が遅れるかもしれないと恐れるからです。
しかし、隠すことにエネルギーを使うことで、本来の仕事に影響が出てしまうだけではなく、人々が成長する機会を得ることができなくなってしまいます。
それは、組織としてはマイナスになりますよね。
隠すことをしなくなれば、本来の仕事にもっとエネルギーを注ぐことができるのではないかというのです。

発達志向型組織

本書では、人々の発達を促すような組織文化を持つ組織を「発達志向型組織(DDO)」と呼び、どのような組織が人々の発達を促すのか、という論点で書かれています。

会社を成長させるには、社員が成長することが必要です。
多くの会社は、社内研修などを通じて、社員を成長させようとします。

しかし、社員の一部だけを短期間の研修会に参加させても、通常の仕事に戻てってしまえば、容易に元の状態に戻ってしまいます。
時間とコストをいくらかけても、なかなか人は成長しないものです。

この発達志向型組織では、日々の仕事を通じて人々が発達できるような文化を形成し、常に成長することを求められます。
組織は、人々の発達を促すための様々な支援を行っています。

弱さを見せることを求められる

常に自分の弱点を突き付けられ、それと対峙して克服することを求められるというのは、とても苦しい環境だと思います。
しかし、この組織では、あらゆる場面において自分の弱さと対峙すること、さらにはそれを克服していくことを求められます。
通常の感覚だととても苦しい状況です。

心理カウンセラーの私としては、メンタルを病む人が沢山出るのではないかと心配してしまいます。

しかし、成長には痛みが重要です。
自分の課題を見つけて、それを改善してくという、絶え間ない努力が必要なのです。
自分の弱さから目をそらし、それを隠すことに戦々恐々としているような状態では成長していくことは難しい。
さらには、自分の弱さと向き合うことはつらいので、無意識のうちに守りに入っていて、自分の弱さを意識できない場合もあります。
そんなときにでも、まわりからの容赦ないフィードバックで、自分の弱さと向き合うことを要求されるのですから、なかなか苦しい状況です。

苦しさを和らげる環境

しかし、世の中には完璧な人などいません。
組織の中の誰もが、自分の弱さと向き合っています。もちろん、トップも例外ではありません。

弱さと向き合う苦しさも、みんなが味わっている組織です。
そこを乗り越えていくためのサポートも充実しています。
まわりのメンバーがみんなで支えあいながら、自分の課題に取り組むような組織文化を構築しています。

したがって、弱さを非難されても、それがその人にとってマイナスにならないように、まわりの環境が配慮してくれるのです。
これこそが、安心して弱さを見せられる環境です。

このような環境にあれば、自分の弱さと対峙してそれを克服してこうとするエネルギーを得ることができます。
そして、克服できた時、まわりから称賛され、自分の成長を実感でき、それが喜びに変わるのです。

このような環境が用意されているからこそ、人々の成長が加速され、その結果として組織全体が成長していくのです。

完璧な人などいない

完璧な人ないないわけですから、どこまで行っても、克服すべき課題はなくならないわけです。
この組織のメンバーはそのことを理解しています。
人は皆、発達の途中段階にあるのです。
その人の発達段階に合わせて、様々な課題が課せられていくわけです。

完璧な組織もない

完璧な人がいないのと同じで、完璧な組織もありません。
したがって、この発達志向型組織も、常に課題を見つけ改革を続けていくことになります。

人生に正解が無いように、組織の形にも正解がありません。
ビジネスの内容も、仕事の内容も違う組織ですから、自分たちにあった組織を自分たちの手で作り上げる必要があります。

この本には、常に成長を続けていこうとする組織の在り方について書かれています。

感想

この本の中には「心理的安全性」という言葉は出てきません。
でも、私はこの本を読んで、「心理的安全性」の本質はこういうことなんだろう、と思いました。

「心理的安全性」というと、なんとなく仲良しクラブ的なぬるま湯的な組織と混同してしまいがちですが、ここで紹介されている組織はそれとは対極にあります。

常に、自分の弱点と対峙してそれを克服していくことを要求されるわけですから、ぬるま湯であるはずがありません。その厳しさは、まるでプロスポーツチームを見ているようです。

しかし、自分が成長したいと願う人たちにとっては、とても刺激的な職場なのだろうと思います。

強い組織を作りたいと思っているリーダーや経営者の皆様には、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。
自分がまず率先して、成長しなければいけないということがよくわかると思います。
具体的な方法論にも言及していますので、参考になると思います。

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