新年早々、知人から膝が痛いという相談を受けました。
その方は、昨年出産した、赤ちゃんを育てるママさんです。
ベビーベッドが無いらしく、布団から赤ちゃんを抱きあげて立ち上がる時に、左足で立ち上がる癖があるとのことで、その時に左側の膝が痛い、ということでした。
それで、近所の整骨院に通っていると。
だけど、一向に良くならない、とのこと。
治療内容
整骨院では、まず電気治療を行い、そのあと院長がきて身体を軽くマッサージして、骨盤に手を当ててしばらくじっとしているとのこと。
「あれ、院長いる?」と思ってしまうほど、何もしない、というらしいのです。
院長いわく、「出産の直後なので、骨盤が緩んでいるのが原因」とのこと。
その話を聞いて、「いやいやいやいや、それはないでしょう」と思わず本音が出てしまった。
整骨院の院長と言えば、国家資格である柔道整復師を持っているはず。
膝の痛みなんて、まさに、彼らが得意とする分野のはずなのですが、それでも骨盤が原因だと説明するとは。。
しかも、「手を当てるだけ」というのは、何らかのエネルギー療法を使っているのだろうか。
怪しげな整体師(民間資格)ならそういう人が居ることもわからないではないけれど、柔道整復師(国家資格)を持っているなら、身体の構造にも詳しく、理論的な考え方が出来てもおかしくないはずなのに、なんだか釈然としないよなあ。
しかも、この整骨院は結構有名らしく、遠くからも患者さんがやってきているらしいのだ。
怪しい治療家に要注意
僕も、この業界に20年以上いるからわかるのだけれど、結構怪しい人が多いのは事実。
僕自身は理系出身で、理屈っぽいので、理論的に説明ができないことは疑ってかかる人間である。
なので、なんでも骨盤を悪者にしてしまうのは抵抗があるし、ましてやエネルギー療法については懐疑的なのだ。
患者本人が、「赤ちゃんを抱きあげて立ち上がる時に痛い」と訴えているのであるから、その時に痛めたか、立ち上がり方に問題があると考えるのが、理論的な考え方だと思うけどなあ。
シンプルに言い切ってしまう人を信用してはいけない
僕自身は、人間の身体は複雑で、原因を一つに絞り込むことは難しいと思っている。
むしろ、複合的にいろいろなことが絡み合って、痛みが出ていると考えていいだろう。
人間の身体に限らず、世の中の出来事は、様々な問題が絡みあっていることが多い。
それを、あたかも私は何でも知っているという顔をして、原因を一つに絞ってしまう人を信用してはいけないと思う。
だけど、人は弱いもので、「これが原因です!」と言い切ってしまう人にすがりたいと思ってしまう側面がある。
そのほうが、シンプルにわかりやすいし、安心感を得られるからだろう。
だから、断言する人にカリスマ性を感じ、信用してしまう傾向がある。
しかし、こういう人を簡単に信じてしまうことには注意が必要だと僕は思う。
現実は地道な改善が必要
だけど、現実はそんなにシンプルではないことが多い。
絡み合った糸を解くように、一つ一つ丁寧に根気よく改善していくような、地味な作業が必要なことの方が多いのだと思う。
そんなわけで、その膝が痛い方には、僕の見解をお伝えした。
おそらくたちがある時の膝の使いかが良くないのだろうということ。
ベビーベッドを使うなりの工夫をすること。
出産直後のお母さんは身体が弱っていることから、リハビリのつもりで簡単な筋トレをすること。
もちろん、骨盤が緩んでいる可能性はある。
子育ては体力勝負だから、あちこち痛くなるのは仕方がないこと。
なので、こまめに自分のケアをする必要があることなどをお伝えした。
まとめ
以上のように、本当は複雑な問題なのに、「すべてこれで解決できます」とシンプルにしてしまう人を信用してはいけないと、私は思っている。
身体の問題しかり、心の問題しかり、人生の問題しかり、政治問題しかり、環境問題しかり。。。
ああ、また話が大きくなってしまった。
苦笑。
コメント