僕がうつを克服するためにやったこと

草原に立つ男性 エッセイ
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草原に立つ男性
Benjamin Davies

僕かつてうつ状態に陥って、そこから10年くらいかけて自力で立ち直ってきた。
病院にも行かず、カウンセリングも受けず、自分だけで。

「自力で克服した」というと、「そんなことできるんですか?」とよく聞かれるので、ここに僕がやったことを紹介しようと思う。

うつは本当につらい。
もう二度と、あんなつらい経験はしたくない。
だって、生きているだけでつらいんだから。
寝ていても、食事していても、呼吸をするのすらつらい!という感じだった。

そんな状態から抜け出すために、僕がやったことを紹介したいと思う。

つらいことを全部やめてみる

とにかく、生きているだけでつらいくらいだから。
当時の僕には、つらいことが沢山あったんだ。
でも、不思議なことに、生きるのをやめようとは思わなかったんだよね。

死のうとは思わなかったけれど、つらいことが沢山あったから、それを全部やめてみようと思ったんだ。

会社を辞めた

まず、会社を辞めようと思った。
会社を辞めないと、この苦しみは楽にならないと思ったんだよね。
なぜなら、「どうして自分はこの仕事をしているんだろうか」と考えるようになったのが、うつの始まりだったから。
ここを何とかしないと、この病は治らないと思ったんだ。

親の期待に応えるのをやめた

母親が強烈な性格で、過保護、過干渉だった。
何かと干渉してきて、自分のコントロール下に置こうとしていた。
僕は、いろいろあって、そのコントロール下から出られずにいた。

結局、親が期待するような人になろうとしていたんだよね。
だから、そのコントロール下から出ることができなかったんだ。
そのせいで僕は壊れてしまったんだ。

だから、会社を辞めることも相談もなく事後報告だった。
相談なんかしていたら、余計苦しくなるのはわかっていたから。

母親は相当ショックを受けていたよ。
お陰で体調を崩してしまったくらいだから。
僕が会社を辞めた一か月半後に、脳溢血で倒れてしまった。
でも、それをやらないと駄目だったんだ。

自分を責めるのをやめた

自分はダメな奴だと責めるとか、
自分の欠点とか嫌なところばかりを見るとか、
自分の弱点と他人を比べて落ち込むとか。

そういう、自分を貶めるような行為をやめた。

結局、「劣等感」って自分で自分にダメ出しをしているってことだよね。

どうしてわざわざ、自分にとってつらいことを考えなければいけないのか。
無意識にそういう思考に陥っていることがあることに気がついて、それをやめた。
母親が倒れたのは僕のせいかな?って思ったけど、そんな風に考えないようにした。

まあ、言うのは簡単だけど、自分を責めるのをやめるのは難しかったけどね。

常識を疑ってかかる

自分を苦しめている常識ってあるよね。

例えばね、

男は経済力で女房子供を養っていかなければいけない。
マイホームを建てなければいけない。
子どもは大学まで出してやらなければいけない。
長男は両親の面倒を見なければいけない。
履歴書に空白を作ってはいけない。
学歴が高いほうがすごい。
定職について安定した収入を得なければいけない。
他人より優れていなければいけない。
親の言うことを聞かなければいけない。
親には感謝しなければいけない。
普通でなければいけない。
失敗してはいけない。
損をしてはいけない。
嫌われてはいけない。
他人と同じでなければいけない。
迷惑をかけてはいけない。
友達は多いほうがいい。
年賀状はたくさん出したほうがいい。
英語は話せたほうがいい。

こういうやつですよ。
こういうの、全部、疑ってかかるわけ。
おそらく、まだまだたくさんあると思うんだけど、片っ端から疑うわけ。

どうして?
なんで?
ホントに?
って。

そうやって、片っ端から疑ってかかると、常識って別に「真理」ではないということに気づくわけ。
ただ、なんとなく、「それが当たり前だと思って深く考えていないこと」なんだよね。
よくよく考えてみると、どうでもいいことだったり、根拠があいまいだったりする。
そんなことに縛られて苦しんでいるなんて、ばかばかしいよね。

心の声を聴いてそれに従う

我々は、頭でよく考えて合理的に行動することを求められ続けているんだよね。
そういうことができるようになることが、大人になることだっていう教育を受けているからね。

でも、それをやりすぎると、心の声が聴こえなくなってしまう。

本当は、もっと違うことがやりたいのに、頭がダメだと言っている。
そうしてあきらめてしまったり、心を苦しめていたりする。
でも、頭は常識に縛らているだけで、実はロクによく考えていなかったりしてね。

心が無視されているから、心が苦しむ、そして心が病む。
だから、心の声をよく聴いてそれに従うことで、心の病を克服することができるようになるんだ。

本当はやりたかったこと列挙する

心の声をよく聴いたら、忘れないようにメモしておこう。
本当はやりたかったのに、頭がダメ出ししてできなかったこと、やらないでいたことを列挙してみるんだ。

自分は、本当は何がやりたいのだろう。
どんな人生を望んでいるんだろう。

心の声って、浮かんでは消え、を繰り返しているから、すぐに忘れてしまうんだよね。
だから、メモしておくことが必要なんだ。

その時に重要なのは、仕事になるとか稼げるかとか、世間体がどうのとか、誰かに反対されるとか、お金がないとか、時間がないとか、実現不可能だとか、そんな余計なことを考えないってこと。
こういうのは頭が考えている事であって、心にとってはどうでもいい事なんだよね。

それで、思いついたことをどんどんメモして列挙していくと、ああ、なるほど、僕はこんなことがしたかったんだって、その傾向に気がついたりする。

で、そのメモを眺めていて、その中から現実的にできそうなことをやってみようと思うんだよね。
それが、生きるエネルギーになるわけ。

つらいことだけを考えて、それを避けることばかり考えているとね、生きる希望が無くなっちゃんだよね。
だったらもう、生きるのやめようかって思ってしまう。

でも、本当はこんなことがやりたかったんだよなあ、っていうリストを作ると、それが生きるモチベーションになる。
これをやったから、僕は死にたいと思わなかったのかもしれない。

身体の声を聴いてそれに従う

身体の声を良く聴いて、それに従う。
寝たければひたすら寝る。
動きたければ動く。

そんな生活はだめだとか、だらけるとか、規則正しい生活をしなくちゃとか、そんなことを考える必要はない。

「うつ病の治療には規則正しい生活をすることが大切」なんてよく言われるけど、そういう頭で身体をコントロールしようとするから、身体が病むんだよ。

身体の声をよく聴く。
それに従う。

そうすると、最初は寝ているばっかりだったんだけど、いつの間にか、身体を動かしたくなってきたんだよね。
そうなったら、今度は身体を動かしてみる。
そして、疲れたら休む。

そうこうしているうちに、身体はだんだん動くようになっていった。

だけど、1年間で20㎏も太ってしまったんだけどね(汗

本を読みまくる

とにかく本を読んだ。
本というのは、著者のものの見方が書いてあるんだよ。

自分とは違う人の価値観や考え方を吸収することによって、凝り固まった自分の考え方を柔軟にしてくれる。
自分では気が付かなかった視点を与えてくれる。
自分では想像もつかなかった世界を見せてくれる。
自分は知らなかった生き方があることを教えてくれる。

そうして、自分がいろんな視点からものを見れるようにしてくれる。
世の中は自由で、多種多様な人がいて、みんな違う生き方をしてる。
それでいいんだって思えるようになる。

社会との関係を断つ

うつで会社を辞めた後、一年間はひっそりと生きていた。
もう、自分を知っている人はこの世にいないんじゃないかってくらい。

僕にとってラッキーだったのは、当時の彼女(今の嫁さん)が、僕には縁のない場所で一人暮らしをしていて、そこに転がり込むことができたってことだ。

まじめ一本で生きてきた僕にとって、結婚前に女性のアパートに転がり込むなんて考えられない行動だったんだけど、もう、そんなことを言っていられるような状況じゃなかった。
それに、もうとっくに常識なんて捨ててしまっていたので、とにかく楽になれる場所が必要だったし、彼女も受け入れてくれたから有難く寄生させてもらった。

アパートの周りには知っている人は誰もいない。
家族とも離れることができた。
友人とも連絡を取るのをやめた。
年賀状も出さなかった。

そのアパートで、僕はひたすら眠った。
人に会いたくなかった。
家族とも会いたくなかった。

会社を辞めた後に、母親が病気で倒れた。
そのことで、姉たちからもいろいろと批判された。
それがまた、僕の状態を悪くしていた。

この時のことは、話すと長くなるので割愛するけれども、いろいろとごたごたが起こったし、そのせいで僕は深く傷ついた。

だから、僕にとって逃げられる場所があり、そして甘えられる人がいたことは、とてもありがたいことだった。

自分の自然治癒力を信じる

そして、僕には一つの確信があった。
それは、自分の自然治癒力を信じていた、ということ。

いつかは治る。
絶対に。

受けたダメージは、いつかは回復する。
それまでは、負担をかけないように、出力60%で生きていく。

好きなことしかしない。
無理はしない。
人の目も気にしない。
人と比較しない。
自分にとって都合がいいように考える。
考えてもわからないことは考えない。
心の声に従う。
身体の声に従う。
当たり前のささやかな幸せに感謝する。
これまでの生き方とは違う生き方をする。

そうしていれば、いつかは絶対に治るだろうと思っていた。

まあ、結果的には、もう治ったのかなと確信を持てるまでに、10年以上の年月を要したんだけどね。
それでも、まあ、生き方を変えてしまったので、焦りはなかったな。
なんなら、一生60%の出力でもいいと思っていたからね。

こう振り返ってみると、恵まれていたなあ、と思う。

幸い、貯金があったから、お金の心配をあまりしなかったこと。
そして、彼女(嫁さん)の存在。

この二つが大きかったんだと思う。

まとめ

僕はうつ状態に陥って会社を辞めた後に、いったいどんなことをしたのか。
それについて書いてみた。

一言でいうと、生き方を変えたんだよね。

ここまでやらなくても、生き方を変えればいいんだ。
会社を辞めなくても、仕事に対する姿勢を変えるとか、やり方を変えるとか。
人生観や仕事観を変えるとか。

結局、同じことをやっていたのでは、同じ結果になりかねないから、何かを変える必要があるんだ。
同じことをやろうとするから、再発するんだから。

同じ生き方では再発する。
だから、生き方を変える。

そういう必要があるんだよね。

できることは人それぞれ違うと思う。
もちろん、病院に行ったり、カウンセラーの力を借りる方がいいかもしれない。
今になってみれば、そう思う。

でもね、たとえそうであったとしても、自分で変えようとしないとだめだよ。
自分で変えようとしなければ、生き方なんか変えることができないからね。

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