新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、政府は緊急事態宣言を出して外出自粛を要請した。
そして先日、その期限を約一か月延長し、5月31日までとすることを発表した。
僕が暮らしている東京都は、これで約2か月の間、外出自粛生活を強いられることになる。
この生活の中で、強いストレスを感じている人は多い。
僕自身は、子どもが四人いて、家の中が賑やかなのであまり気にならないのだが、これがもし、独身で一人暮らしだったり、単身赴任中だったとしたら、2か月もの間、誰にも会わないことになってしまう。
さらに、仕事自体がない、収入もないという状況だったら、メンタルが崩壊してしまっても不思議ではない。
考えただけで恐ろしい事態だ。
僕が以前に書いていたブログの中に、「人は人に癒される」という記事があった。
この記事は、脳からストレスを消す技術、という本を紹介したものだ。
この本は私が数年前に読んだ本なのだけれど、とても良い本なので、たまに読み返すのだけれど、このブログの中で、この本の一説を引用している。
相手が人間ではないのがストレス
この記事の中で、IT業界にメンタル疾患が多いうことに対する、以下の一文を引用している。
そして、このある言葉に私は引っかかったからだ。
脳科学の視点から見るとIT業界が抱える問題は、二つ考えられます。一つは、身体を動かさないこと。この業界は、どうしても長時間のデスクワークになりがちなので、太陽の光を浴びる機会のある外回りの営業社員などと比べると、どうしても運動不足になり、セロトニン神経が弱ってしまいます。そしてもう一つは、実は、これがとても大きな問題なのですが、 「相手が人間ではない」ということです。(有田秀穂)
私が引っかかったのは、ここに出てくる、「そしてもう一つは、、、、」以下のところ。
「相手が人間ではない」というところだ。
なぜなら、私がうつ病に罹ったころのことを思い出したのだ。
私はエンジニアだった
私はIT技術者ではなかったが、エンジニアでだった。
騒音や振動の問題を解決するエンジニアだった。
騒音問題に困っている工場やプラントに出かけて行って、その原因を調査して対策案を検討する。
あるいは、発電所などの大規模なプラントを新設する際に、周辺地域でどの程度の騒音レベルになるのか予測計算をする環境アセスメントの仕事などをしていた。
実際にに騒音で困っている現場に出かけて行っての調査や対策案の検討という業務は、対策の結果が見えるのでなかなかやりがいのある面白い仕事だった。
しかし、それとは反対に予測計算によるアセスメント業務は、まさに数値とのにらめっこで苦痛だったのだ。
大型の火力発電所ともなると、音源数が5000を超えることもあり、計算結果が騒音規制値をコンマ数dBでも越えようものなら、その値が規制値に収まるように対策を考えなければならない。
コンマ数dBなんて、実際に耳で聴いたらその違いに気がつく人はいない。
それなのになぜこんなにも悩まされなければいけないのか。
そんな疑問を持ちながらのむなしい仕事だった。
自分の仕事の成果で、救われる人たちの顔が見えない。
さらに、納期が決まっているのにもかかわらず、客先の都合で進捗が遅れていくということもしばしばで、ストレスのかかる仕事だった。うつ病になった当時は、そういう案件を複数同時に抱え、私の精神は徐々に崩壊していったのだ。
整体師という仕事を選んだ理由
私は、人の役に立ちたい。
役に立っているという実感が欲しい。
困っている人の問題を解決して、喜んでもらいたいし、喜んでいる顔を見たい。
そんな思いが強くなり、整体師という仕事を選んだのだ。
私はそれまで、色々なスポーツを経験してきた。
その中で、人の身体や健康ということに、とても興味を持っていた。
とくに、トライアスロンという競技をやるようになって、筋力トレーニングや、疲労回復の方法、何を食べたらよいのかという栄養学、ウェイトコントロールの方法などを独自に勉強してきたのだ。
それまでに得ることが出来た知識を、困っている人のために役立てたい。
それは、騒音で困っている人のコンサルティング業務と同じ構図だと思ったのだ。
しかし、騒音コンサルティング業務よりも、もっと直接的に人間の問題をあつかうのだ。
しかも、今では、心理カウンセリングも行うのだから、人間を扱うことに喜びを感じるのだ。
人を癒すのは人である
「仕事をする相手が人間ではない。」
やはりそれは、辛いことなのだ。
その先にいる人間のことが見えれば、それはそれで何とかなるかもしれないけど、それでも辛い。
人は人と触れ合うことで癒されるのだ。
ストレスの原因もまた人間関係であることが多いけれど、癒してくれるのもまた人なのだ。
それが、「人間は社会的動物である」と言われるゆえんだ。
人は、人と人の間でしか生きていけないのだ。
人の幸せは人間関係の質で決まる
ハーバード大学で行われていている成人発達研究というのをご存じだろうか?
1938年から続く研究で、当時19歳だった男性、約700人を80年間にわたって追跡調査を行うという、壮大で気の遠くなるような研究だ。
この研究の結果、人間が幸せで健康な人生を送るための要因は、「富」でも「名声」でもなく「人間関係の質」であると結論付けている。
家族、友人、仲間など、質の良い人間関係を持っている人が、健康に幸せに、そして長生きするということが分かったというのだ。
ぜひ、こちらのスピーチ動画を見てほしい。
この動画は、この研究の4代目の研究者である、ロバート・ウォールディンガー教授のスピーチだ。
ここでは、人生の究極の幸せの形が語られている。
孤独は害になることが明らかに
この動画の中でも語られているが、孤独は人間の健康にとって、決していいことではないということだ。
命取りだとも語られている。
人は、人との関係の中で幸せを感じることができるし、健康でいることができるのだ。
やはり、人は人の間でしか生きられないのだ。
新型コロナウィルスを恐れすぎると孤独で体調を崩す
新型コロナウィルスは厄介なウィルスだ。
無症状の感染者が多数存在しているうえに、悪化するときには急激に悪化する。
したがって、医療崩壊を起こさないような治療方針が確立するまでは、感染者を増やさないように、人に接触しないようにしなければいけない。
人は、人と接触していなければ孤独を感じて健康を損なう。
さらには、経済的に追い込まれていく人が増える。
しかし、人と接触すると新型コロナウィルスが広がってしまう。
この二つの問題を同時に解決できるようにするために、バランスを取りつつ社会生活を送っていかなければいけない、という問題を突きつけられている。
個人でできることは何か
外出自粛生活が続いて孤独を感じているという人が、自分でできることにはどんなことがあるだろうか。
一つ考えられることは、オンラインを有効に活用することだ。
インターネットを通じて、他者とつながることを積極的に行ったほうがいい。
オンライン飲み会やオンライン勉強会など、盛んにおこなわれているが、こういうチャンスに積極的に参加するのもいい。
さらには、自分から気軽に誰かとつながっていく、ということもやって欲しい。
特に用事がなくとも、遠慮することなく友達に気軽に連絡を取るとか、SNS上で誰かとチャットをするなど、他者との会話を楽しんでほしい。
そういう人もいない、というのであれば、オンラインカウンセリングなどの専門家を利用してほしい。
私が経営しているあおぞら整体院でも、オンラインカウンセリングを受け付けている。
ご連絡を頂けたら、何らかのお力になることができるかもしれない。
まとめ
孤独は人間にとって、最も辛いことの一つだ。
外出自粛生活を受けて、孤独にさいなまれている人もいるだろう。
こんな時だから、遠慮することはない。
誰かを頼ろう。
自分から助けを求めよう。
人間は助け合って生きている。
それが人間の生き方なのだ。
コロナの問題で、新しい生活様式をという言葉が出てきているけれども、やはり、人とのつながりの中でしか、我々は幸せになれないということを、改めて心に刻むべきだと思う。
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