月一回のペースで開催しているZOOMを使ったオンラインイベント「人生の学校」ですが、昨夜、第15回目を開催しました。
テーマは「ストレスマネジメント」です。
新型コロナウィルスが問題になってから、すでに2年が経とうとしています。
日本社会はもともと高ストレス社会だと言われていましたが、コロナ禍となってから、ますますストレスが増大していると感じてい人も多いのではないでしょうか?
ストレスとどう付き合っていくか、という問題は、現在多くの人が直面している問題だと思います。昨日お話しした内容を、このブログにも簡単にまとめておきたいと思います。
ハンス・セリエのストレス学説
ストレスという言葉は、いまでこそメンタルや健康分野の言葉として定着していますが、もともとは物理学の用語でした。
ある物体に外力が加わったときに、その物体が歪み(ひずみ)ます。その歪みのことをストレスといいます。
この言葉を、生理学分野において有名にしたのがカナダの生理学者であるハンス・セリエが発表した「ストレス学説」です。
セリエは、ネズミに長時間にわたってストレスを与えることによって、(具体的には電気ショックを与えたり、はりつけにしたりしたそうです)、ネズミがどのような反応を示すかを研究しました。ネズミの反応だけではなく、ネズミを解剖してその体にどのような変化が現れるかを観察しました。
その結果を、以下のような「ストレス曲線」として説明しました。
このストレス学説が発表されたのは1936年ですので、実に80年以上も前の話です。
生体にストレス(外的な刺激)を与えると、そのストレスに対抗しようとして一時的に抵抗力が高まります。具体的にはストレスに戦うために体にエネルギーが満ちる状態になります。
これが、「抵抗期」という期間です。
人間でいえば、ある種のやる気が満ちているような状態になります。
ところが、この抵抗期はいつまでも続くものではなく、ある時を境に、急速に身体が弱っていき、場合によっては突然死んでしまうこともあります。
これは、ストレスが長期間続いた後に、うつ病をはじめとする精神疾患を発病したり、ストレス性の疾患(胃潰瘍や脳梗塞、心筋梗塞など)を起こしてしまうという事実を表したグラフです。
この事実は、もうすでに80年前にはわかっていたことなのですが、これが現代でも問題視されているということを、私たちは知っておく必要があります。
抵抗期にはある種の充実感を感じている?
厄介なのは、抵抗期には体にエネルギーが満ちているような状態なので、ストレスの内容によっては充実感を感じている可能性があるということです。
例えば、大きなプロイジェクトを任されている、といったような場合には、傍から見ているとその人は生き生きと働いているように見えるかもしれません。
もしかしたら、本人ですら、そう思っているかもしれないのです。
しかし、無理な働き方が長期間続けば、必ず疲弊期がやってきます。
その前にどこかで手を打たなければ、本当に病気になってしまうかもしれないし、最悪の場合、命を落としてしまうかもしれません。
ですから、自分の体が抵抗期にあることを自覚して、疲弊期になる前に何としてでも手を打っておく必要があるのです。
疲弊期を感じてからでは遅い、ということを、頭の片隅に入れておくことが必要なのです。
ストレス耐性には個人差がある
ストレスに対してどの程度耐えられるか、その耐性には個人差があります。
その理由は以下の三つがあると考えられます。
1,生まれ持った体質や気質
お酒にめっぽう強い人と全く飲めない人がいるように、ストレス耐性にも体質が影響しています。また、生まれ持った気質も、ストレス耐性に影響してます。これは生まれつきのものですので、変えることはできません。ですから、他人と比較しても意味がないことなのです。
私などは、睡眠不足がすぐに身体に出てしまうので、睡眠時間は8時間程度ほしいと思っているのですが、中にはショートスリーパーという人がいて、5時間も寝れば十分、などと言っている人もいます。
残業時間が月に100時間を超えても平気な人もいれば、60時間でも病気になる人もいます。
みんなが大丈夫だから、自分も大丈夫、ということはありません。
ここはとても大切なことなので、間違えてはいけません。
ある成功者や有名人が、「若いころは寝ずに仕事をしたものだ。それくらい無理をする期間は絶対に必要だ。」と言ったとしても、それを鵜吞みにして、自分もそれくらいやらなければだめだ、などと考えてはいけません。その人はたまたま倒れなかっただけです。あなたが倒れない、病気にならない保証はどこにもありません。こういう話を、生存者バイアスと言います。このような危険な発言をする人を信じてはいけないのです。
2,ものの見方や受け止め方
ものの見方や受け止め方は人によって違います。
楽観的に解釈をする人と、四角四面に解釈をして完璧を目指す人では、ストレスの度合いが全く違います。
しかし、この部分は改善の余地があります。自分の考え方や受け止め方を変えることによって、ストレスを軽減させることは可能です。
3,プライベートの問題
職場にいては見えてこないプライベートの問題も、個人差があります。
家庭が円満な人と、家庭に問題を抱えている人では、ストレスの度合いは全く違います。
以上のことから、ストレス耐性は人によって全く違います。
他人と比較して、自分はストレスに弱い、などと自分を責める必要は全くありません。
他人と比較することはナンセンスなのだと認識してください。
ストレスに強くなるとは
カウンセラーと整体師という仕事柄、多くの人と話をする機会があるのですが、その中で感じていることは、ストレスをわざわざ自分の中で増幅してしまう人と、上手に減衰させることができる人がいるということです。
ちょっとした問題を自分の中で大げさに増幅して、それに苦しんでいる人はとても多いのです。
そして、そういう人が良くこんなことを言うのです。
「もっとストレスに強くならなければいけない。ストレスに強くなりたいです。」
そういう人の「ストレスに強くなる」というイメージは、ボクシングで例えると、「どんなにハードなパンチを食らっても立っていられるような強さ」である場合が多いと感じます。
しかし、よく考えてほしいのは、どんなに強いボクサーでも相手のパンチをまとも食らったらダウンしてしまいますよね。アニメで出てくる悪役のように、涼しい顔で「効かねえなあ」などというような強さではありません。
強いボクサーは、そもそも相手に有効打を打たせない、あるいは打たれてもかわしたりガードしたりして、相手のパンチのダメージを軽減させるテクニックを身に着けているのです。
言い方を変えれば、逃げるのもうまいわけです。
ストレスに強くなる方法もこれに似ていると思ってください。
自分を守るためのテクニックを身に着けるのです。
言い換えれば、ストレスを減衰させる方法を習得することによって、ストレスに対して強くなれるのです。
ストレスを軽減するテクニック
ストレスを軽減させる方法はいろいろありますが、一言でいうと「自分にとって楽な解釈を身に着ける」ということだと思います。
人間はある出来事に遭遇すると、自動的に自分なりの解釈をして認識します。これを自動思考と言います。自動思考にはその人の思考の癖が色濃く出ます。
そのうえ、無意識で解釈をしていますので、自分が解釈を加えていることにすら気が付かないことが多いのです。
そこをあえて、「事実」と「解釈」に分離する訓練をするのです。
最初はうまくいかないかもしれないけれど、訓練をすることによって、事実と解釈を分けて考えることができるようになってきます。
これは、物事を客観的にとらえる練習になるのと同時に、自分の自動思考(解釈)の癖に気が付くと同時に、別の解釈をする余地があるということに気が付くことができるようになります。
こうして、柔軟な思考や多角的な視点を得ることができるようになります。
柔軟な思考を手に入れることができれば、あえて自分が苦しくなるような解釈を避けて、自分が楽になるような解釈をすることができるようになります。
これが、ストレスを軽減させるために必要なテクニックです。
自分が楽になるような解釈ができるようになるためには、訓練が必要です。
そのために、自分とは違う解釈をしている人の意見を聞いたり、本を読んだり、自分とは立場が違う人の視点に立って物事を見たりすることが訓練になります。
もちろん、最初はうまくいかないこともありますし、自分の悪い癖が出てくることもあります。
完璧を目指さなくても、少しでもできるようになるだけで、ストレスは大幅に軽減できるようになります。
そのほかのテクニック
ストレスを減衰させるテクニックは、ほかにもたくさんあります。
自分を責めない
ストレスに苛まれている人の多くは、自分で自分を責めていることが多いです。
自分の責任ではないのに、自分が悪いと思い込んでいる人は多いのです。
自分を責めることをやめるだけで、ストレスは驚くほど軽減できます。
この世に完璧な人はいません。自分が完璧ではなのは当たり前のことです。
人は短所と長所を持っています。自分の短所だけを見て、劣等感を抱くのはおかしなことです。短所と長所を客観的に把握しましょう。
人間はミスをするものです。たとえ失敗をしたとしても、それは人として当たり前のこと。
ミスをした自分を受容しましょう。
自分を大切に扱い、自分を好きになりましょう。
考え方(生き方)を変える
ストレスで身体を壊したとします。それは「今までの考え方(生き方)では身体が持ちませんよ」という、身体からのサインです。これを変えなければ、必ず再発します。考え方を変える必要があります。
「ねばならない」という考えを捨てる。
こだわりを手放す。
完璧を求めない。
他人との比較をやめる。
etc..
気分転換をする
自分なりの気分転換方法を持ちましょう。
カラオケをしたり、運動をしたり、整体を受けたり、リフレッシュする方法を持ちましょう。
ちなみに、最近の僕のリフレッシュ方法はバイクに乗ることです(笑)
どうでもいいことですが
心が軽くなるおまじないの言葉を持つ
「おまじないの言葉」と聞くと、なんだか不真面目に思うかもしれませんが、言葉の持つ力はとても大きいのです。
なぜなら、人間は言語で思考しているので、どのような言葉を使うかによって思考が影響を受けるからです。
心が軽くなるおまじないの言葉の例を挙げておきます。
・大丈夫、なんとかなるよ
・まあいいか
・命まではとられまい
・生きてるだけで丸儲け
・明日は明日の風が吹く
・I’m OK!
・ありのままで行こう!
・自分は恵まれている
このほかにも、おまじないの言葉はたくさんありますので、自分のお気に入りの言葉を探してみてください。
人間関係を変える
人間関係がストレスの原因になっているケースはとても多いです。
この場合、人間関係を見直してみることはとても大切です。
例えば、以下のようなことを考えてみてください。
・嫌いな人と距離をとる
・期待に応えようとしない
・他人に期待しない
・すべての人に好かれようとしない
・自分を犠牲にしない
健康を保つ
身体が健康であることは、ストレスと戦う上でとても大切です。
体調不良は大きなストレスになります。
健やかな体を作りましょう!
健やかな体を作るために、以下の「健康を支える三本柱」意識してください。
■健康を支える3本柱
運動・・適度な運動習慣
栄養・・バランスの取れた食事
休養・・睡眠をきちんと取る
ストレスは成長するチャンスだと心得る
ストレスに対抗するために、以上にあげたような、ものの見方を変えたり、自分の思考の癖に気が付いたり、柔軟な視点を手に入れたり、人との付き合い方を変える必要が出てきたりします。
しかし、こういう経験は成長につながります。
よりよい人生を生きるためのテクニックを身につけることができるのです。
ストレスに苛まれている状態は苦しいとは思いますが、成長するチャンスだととらえて、自分の考え方を変えることに着手してみてはいかがでしょうか?
まとめ
長々と書いてきましたが、生きていればストレスを感じることはたくさんあります。
ストレスを軽減するテクニックを手に入れることは、よりよい人生を歩くためにはとても大切なことなのです。
この記事が誰かのお役に立つことができれば、とてもうれしく思います。
お知らせ
次回の人生の学校のお知らせです。
第16回人生の学校のテーマは「人生はご縁でできている|運を味方につける方法」です。
人生には、驚くほどうまくいく時と、全くうまくいかないときがありますよね。なぜなら、不確実な「ご縁」というものに左右されるからです。
この「ご縁」というものの存在を意識していると、うまくいかないときにも諦めが付きますし、自分を責めることがなくなります。
また、うまくいったときに、そのご縁に感謝し、幸せを感じることができるようになります。
「ご縁」はまた「運」と言い換えることもできます。
「良いご縁」や「幸運」に恵まれるためにはどうすればよいのでしょうか?
そういう方法はあるのでしょうか?
このことについて、皆様と一緒に考えてみたいと思います。
■日時 2022年2月24日(木)20時~21時30分
■テーマ 人生はご縁でできている|運を味方につける方法
■ZOOMによるオンラインイベント
■参加費 無料
■申し込み Facebookイベントページ または ピーティックス
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