嫌われるのを恐れると、誰にも愛されない-安冨歩著「生きる技法」より

友人男女 人間関係
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今日も、安冨歩さんの「生きる技法」について書いてい見たいと思います。

昨日のブログの中で、「自立とは、多くの人に依存することである」という言葉について書きました。

自立とは、多くの人に依存することである-安冨歩著「生きる技法」より
「自立」するということは誰にも頼らすに生きていけるようになることなのだろうか?しかし、人は一人では生きていけないということを多くの人は知っている。人は助け合って生きていく社会的な動物です。助けられる側になっても良い。助けてもらうことができるようになることが、自立するということなのです。

しかし、このまま、「じゃあ誰とでも仲良くしておくことが良いのか」と思われてしまうと、本書の良さが伝わらないどころか、その人にとって苦しい人生になってしまう危険性があります。

多くの人に依存する、と言っても、その依存先はきちんと選ばないと大変なことになるわけです。
自分を搾取し、利用しようとしている人たちに依存してしまうと、その人たちに振り回されてしまうばかりで、より良い人生を歩むことなどできなくなってしまいます。

では、どんな人に依存すればいいのでしょうか。
生きる技法のの中で、安冨さんは明確してくれています。

人は生きるうえでの基本的な「構え」を持っている

依存できる人を増やす、ということは、要するに信頼できる友達を増やすということです。
ここで問題になるのは、「信頼できる」という部分です。

あなたをうまく利用しようたくらむような人と友達になってしまうと、その人に振り回されてしまって、あなたはあなたの人生を歩くこと出来なくなってしまいます。

このような人と仲良くしてはいけないと、安冨さんは説いています。
つまり、付き合う相手を選べと。
誰とでも仲良くしようとするなということです。

では、どういう人と仲良くして、どういう人と仲良くしてはいけないのでしょうか。
その問題ついて、本書には明確にされています。

僕にとっては、この部分が最も腑に落ちた部分です。
というのも、以前、このブログの記事にも書いたのですが、子供のころの僕にとって、「みんな仲良くしましょう」という理想論が苦しくてたまらなかった、という経験があるからです。

みんなと仲良くしなくてもいいー私たちを縛る理想論
生きづらさを感じている人たちを縛っているもの。その中には、当たり前のように思っていて疑うことすらないようなことも多い。「みんなと仲良くしよう」などというのはその典型。子ども時代にかけられた呪縛はとても強力だ

では、安冨さんはどのようにこの問題について書いているのでしょうか。
本書の中から、少し抜粋してみたいと思います。

人は、自分が受け入れられた経験をすると、人を受け入れることができるようになります。これに対して、自分が受け入れられず、何かの像を押し付けられた経験をすると、人にも同じことをしてしまうのです。特にこれは、子供の頃の経験が大きな意味を持ちます。なぜなら、子供のときの体験によって、人は生きる上での基本的な「構え」を獲得するからです。

 

受け入れられた経験のみを持つ人は、他人に対して像を押し付けるようなことはしません。また、そういうことをされたら、強い不快感を感じて、それを表明し、受け入れられないなら、その場を去ります。このような構えを「創造的構え」と呼ぶことにします。

 

逆に受け入れられた経験を持たない人は、他人に対して像を押し付ける以外の方法を知りません。このような人は、出会った人の実像をありのままに捉えるのではなく、その人を自分が勝手に用意した分類表のどこかに適当に押し込めて、理解したことにしてしまいます。そして、自分に都合の良い像を他人に押し付け合うことこそが、人間関係の本質だ、と考えています。このような構えを「破壊的構え」と呼ぶことにします。

 

両方の経験を持つ人は、両方のモードを持っているので、常に両方がせめぎあい葛藤して、どうしてよいのかわからなくなります。それゆえ、周囲の流れに流されてしまいがちです。これを「葛藤の構え」と呼びましょう。もちろん、純粋に創造的構えであったり、純粋に破壊的構えである人はほとんどいないでしょう。ですから、厳密に言えば、全員が葛藤の構えを持っているということになります。

この一連の記述を読んだ時に、なるほどと、深くうなりました。
特に、「破壊的構え」についての考察はとても秀逸だと思います。

僕は常に、「人をカテゴライズして理解したつもりになるのはとても危険なことである」と主張しているのですけれど、まさにこれは、破壊的構えなんだということが理解できました。

しかし、世の中には、人をカテゴライズして理解したつもりになるような手法が沢山編み出されていて、それば一見便利に見えてしまうので、大変もてはやされていることを危惧しています。

創造的構えに呼び掛ける

ここまで読んでこられた方は、もうお気づきかもしれないけれど、破壊的構えを持つ人には近づいてはいけないということです。

こういう人は、あなたに勝手な像を押し付けて、自分に都合が良いようにコントロールをしようとしてきます。
いわゆる、モラルハラスメントを仕掛けてくる可能性がある。

このような人とも仲良くしようとしていけない。
誰とでも仲良くしようとすると、こういう人に巻き込まれてしまう可能性が高いわけです。
これはとても危険なことなのです。

さらに、多くの人は葛藤の構えを持っているので、その人がもっている創造的構えに呼びかけなければならないとしています。
要するに、自分の創造的構えに従って、本音で話をするということです。

それによって、相手の中にある創造的構えを呼び起こすことができれば、たとえ一時的に対立することがあっても、「雨降って地固まる」という結果になると説いています。

それでも、破壊的構えの人とは仲良くなることはできないし、嫌わてしまうかもしれない。
いずれにしても、破壊的構えの人と仲良くしてはいけない。
むしろ、嫌われてしまうほうが良いと、本書では主張しています。

破壊的構えの人から嫌われることで、そういう人に時間とエネルギーを吸い取られることを防ぐことができるからです。

すなわち、嫌われることを怖れてはいけないのです。
嫌われることを怖れていては、誰からも愛されないということになるからです。

創造的構えの友人を増やそう

依存先を増やすということは、すなわち、創造的構えの友人を増やすということです。
そのためには、破壊的構えの人に嫌われることを怖れてはいけないし、むしろ、嫌われるくらいがいいのです。

人に嫌われるのが怖い。
という人は多いです。

僕自身も、ずっとそのことで困っていたのですが、この本を読んで、とても腑に落ちたので、これからは嫌われてもいい、むしろ、破壊的構えの人からは嫌われたほうが良いんだ、と思うようになりました。

安冨さんがツイッターでとても自由な発言をされていて、どういう心境なのだろうかといつも不思議に思っていたのですが、きっと、破壊的構えの人には好かれる必要はないと思っているからなんだなあ、と想像できて納得がいきました。

ここで書いたことは、僕が解釈したことを書いたまでで、もっとちゃんと安冨さんの思想に触れたいとお考えの方は、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。

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