ダイエットと減量との違い-減量の危険性を考える

 

女性ボクサー

今回は、ダイエットと減量(体重を減らすこと)の違いについて書きます。

こう書くと、「ダイエットと減量って何が違うの?同じことでしょ?」と思う方も多いと思います。
でも、この両者の違いを意識しておかないと、大変な間違いをおかしてしまうことになりかねないのです。

この記事では、この違いについて明らかにしたうえで、気をつけておきたい注意点について書きたいと思います。

ダイエットとは

ダイエットは体重を減らすことであると思っている方も多いと思いますが、厳密に言えば違います。
ダイエットは、本来は「食事療法」という意味なのですが、それがいつの間にか「痩せること」自体を指すようになって来ました。

しかし、本来の「療法」という部分のニュアンスは残っていて、「健康的に」あるいは「健康のために」痩せることがダイエットであると私は認識しています。

もう少し突っ込んで言うと、健康を脅かす肥満の解消です。
つまり、よけいな脂肪を減らすこと。

余計な脂肪を減らして、健康的な身体を手に入れることが本来のダイエットの目的になります。

つまり、減らすべきはあくまでも「脂肪」であって、その目的は健康になることです。
健康のために筋肉を増量した場合、体重が増える可能性もあります。

減量とは

これに対して、減量は体重を減らすことです。
これは体重を減らすことを目指すので、減らすのは脂肪だけとは限りません。

実は、一般の人は「減量」をする必要性はありません。

健康診断などで、正常範囲内に入れるために減量を意識することがあるかもしれませんが、それは体重を減らすことが目的ではなくて健康になることが目的です。
ここをはき違えていしまうと大変な間違いを犯します。

減量が必要なのは、例えばボクシングのような体重別階級制がある競技をしている選手たちです。
このような競技の場合、試合前に計量があって、計量台に乗るときに目標の体重をクリアしておく必要があります。

このような特殊な場合に限って、減量が必要になります。
なぜなら、目的が「計量をパスすること」だからです。

そのために、汗を絞り出したり、それでもダメなら体中の毛を剃ったりすることすらあります。

汗を極限まで絞り出すために、下手をすると脱水症状を起こしかねない。
健康に与えるマイナスの影響は計り知れません。

無理な減量をすればするほど、体調管理が難しくなるのもまた事実です。
無理な減量をした結果、普段の実力通りのパフォーマンスができずに負けてしまう選手も少なくありません。
また、ケガの可能性も高くなり、脳へのダメージも大きくなると言われています。

漫画「あしたのジョー」では、ジョーのライバルだった力石徹が、ジョーとプロのリングで対戦するために過酷な減量を行うシーンが出てきます。
フラフラな状態で試合に臨んだ力石ですが、ジョーとの試合には勝ち、試合後にジョーと握手を交わす瞬間に意識を失い帰らぬ人となってしまいます。

最近では、ボクシング界においてもこのような無理な減量を見直す動きがあり、無理をして階級を下げるのではなく、体調を壊さない範囲での調整で戦える階級で勝負をするボクサーも出てきています。

ボクシングほどではないにしても、レスリングや柔道なども体重別の階級制がある競技ですから、選手は常に体重管理をしています。

これが、「減量」の本当の姿です。

一般人は「減量」する必要はない

こうして考えてみると、ボクサーでもない一般人には「減量」する必要はありません。
むしろ、健康を損なってまで体重を減らす理由はありませんよね。

すなわち、一般人は体重を減らす必要はなくて、健康になれればそれでいいということになります。

脂肪が減って筋肉が増えて、体重は変わらなかったけれど健康になったという場合、減量にはなっていないけれどダイエットには成功したということになるでしょう。

すなわち、ダイエットにおける体重とは、単なる目安であり指標にしかすぎず、それ自体が目的になるのはおかしなことなのです。

ダイエットを始める前に、体重に対する考え方をしっかりと意識しておく必要があります。

汗をかいても痩せない

「汗をかくと痩せる」と思っている方もいらっしゃると思いますが、それは「ボクサーはダイエットの達人」というイメージがあるため、ボクサーが減量の際に行う「汗を大量にかいて水分を取らない」という減量方法がダイエットに効果的であるという間違えたイメージがあるからです。

汗をかくのは、体温が上昇した場合に体温を下げるために皮膚を濡らし気化熱によって熱を取り去るためです。

運動して汗をかく場合は、筋肉を動かすことで筋肉が熱を持ち体温が上昇し、その体温を下げるために汗をかきます。
この場合は、自分が蓄えたエネルギーを使って筋肉を動かし体温を上昇させているわけですから、蓄えた脂肪が減る方向へ動きます。

ところが、サウナや半身浴を行って汗をかく場合は少し違います。
燃えているのは、ボイラーや湯沸かし器の燃料(ガスや灯油など)であって、自分が蓄えた脂肪ではありませんよね。

ですから、汗は出ても痩せる方向へは動きません。
(厳密にいえば多少は動きますが、運動するのとは比べ物になりません。)
もちろん、サウナに入る前と入った後では1kgぐらい体重が減りますが、それは体外へ出てしまった汗の重さですので、それで痩せたわけではありませんよね。

つまり「減量」したけれどもダイエットにはなっていないということになります。
こう考えると、ダイエットにおいては無理に汗を絞り出す意味はないのです。

無理に汗を出す危険性

以前、西城秀樹さんが脳梗塞になった時の記者会見で、体重を減らそうとしてサウナに頻繁入り、水分補給を我慢していた、という旨の発言をしています。

つまり、ボクサーの減量方法とダイエット方法を混同していたということです。
おそらくこれが、脳梗塞の引き金になったのではないでしょうか。

また、炎天下をサウナ―スーツを着込んで走っている人をたまに見かけますが、とても危険な行為なのでやめていただきたいですね。
熱中症を引き起こし、命にかかわるような危険な状態になる可能性があります。

炎天下の運動はなるべく避けてほしいし、もし運動をするなら快適なスポーツウェアを着て、水分をしっかり補給しながらしていただきたいものです。

体重を追い求める危険

ダイエットは健康的な身体を作るために行うものです。
体重は単なる目安であり指標にしかすぎず、それが目的になってはいけないのです。

ところが、体重を追い求めるがあまりに無理な減量に走り、健康を損なってしまうことがあります。

特に若い女性にありがちなのが、無理な減量で生理が止まってしまうとか、過食嘔吐を繰り返して、そのうち食べ物を身体が受け付けなくなってしまう摂食障害に陥るとか、そういう問題点もあります。
それが原因で、不妊症などになる可能性もあります。

また、必要な栄養素が不足することが原因で、イライラしたり気分が落ち込んだり、自律神経の失調、うつ病、パニック障害へと移行するケースもあります。

また、若いころの無理がたたって骨粗しょう症になり、脊椎の圧迫骨折、脊柱管狭窄症、変形性股関節症、変形性質関節症などのいわゆるロコモティブシンドロームの危険性が高まったりします。

とにかく、無理な減量は危険なのです。

健康になることを目指す

ダイエットは健康になるために行うものです。
健康を損なうようなことは、決してしてはいけないのです。

身体に必要な栄養素を取り、健康を損なうほどの食べ過ぎに注意をして、適度な運動をする。
それがダイエットです。

体重は単なる指標にすぎない。

マイナス何キロを目指す。
体重○○kgを目指す。

それを追い求めてはいけないということです。

まとめ

減量とは体重を減らすこと。

ダイエットとは健康的な身体を作ること。

この二つは似て非なるものです。
決して混同しないようにしてください。

私たちが求めるべきは、健康的な身体を作ることです。
体重を減らすことではありません。